執筆講演成果

健康企業宣言『銀の認定』について(第6回)

この研究成果発表では、東京都の健康宣言事業である健康企業宣言『銀の認定』の制度概要及び取組について、全9回に分けて説明させていただきます。

第6回は、7分野18項目の質問(取組)のうち、取組分野「職場の食」の⑪⑫の2つの質問(取組)について確認していきます。

執筆者 江崎 泰将
中小企業診断士/健康経営エキスパートアドバイザー/健康ビジネス研究会・理事/
健康企業宣言東京推進協議会 金の認定ワーキンググループ 委員
東京都出身。経営コンサルティング会社を経て、2016年に独立。2012年中小企業診断士登録。
健康経営アドバイザー・エキスパートアドバイザー研修のテキスト執筆・研修コンテンツ作成・講師などに携わる。銀の認定、健康経営優良法人認定取得支援に多くの実績を有する。

    • 目次

 

職場の食

質問⑪:従業員の日頃の飲み物に気をつけていますか?

質問⑪の取組は3点満点となっております(表11-1参照)。糖質の多い飲料、高カロリー飲料を飲みすぎないような配慮や取組が行われているかが問われています。取組の際に飲み物に関する情報提供では、カロリー表示が有るか無いかで配点が異なってきます。しっかりと飲み物のカロリー表示までできていれば3点となります。なお、水(ミネラルウォーター)やお茶等の摂取を推奨する場合は、しっかりと健康づくり(糖質の過重摂取防⽌等)が目的であることを明記して周知する必要があります。
次に、2点の配点では、健保連東京連合会と協会けんぽ東京支部で採点基準が若干異なります。健保連東京連合会では、「3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満」であれば2点となります。協会けんぽ東京支部では、「カロリー表示のない飲み物に関する情報提供」や「健康づくりを目的としていない水(ミネラルウォーター)やお茶等の摂取を勧奨する取組」は2点となります。なお、それ以外の取組や目的が異なる取組(夏場の単なる水分補給の勧奨など)は1点となります。

表11-1:配点表(質問⑪)

配点 採点基準
3 ・糖質の多い飲料、高カロリー飲料を飲みすぎないような配慮、または取組が行われている
・配布資料や掲示物として、飲み物に関する情報提供(カロリー表示あり)が行われている
・健康づくり目的として、ミネラルウォーターやお茶等の設置及び摂取の周知が行われている(健康づくり目的である
2 【健保連東京連合会】
・3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満
【協会けんぽ東京支部】
・配布資料や掲示物として、飲み物に関する情報提供(カロリー表示なし)が行われている
・ミネラルウォーターやお茶等の設置及び摂取の周知が行われている(健康づくり目的ではない
1点 ・上記以外

・目的が異なる取組
※夏場の単なる水分補給の勧奨など
※糖質の過重摂取防⽌等の⽬的の周知なくウォーターサーバー(水)・給茶機(お茶)・自販機(水・お茶の購入可)が備えられているのみ

また、各保険者の採点基準表は下記の通りとなっております(表11-2、表11-3参照)。

表11-2:採点基準表(健保連東京連合会) 質問⑪のみ抜粋

表11-3:採点基準表(協会けんぽ東京支部) 質問⑪のみ抜粋

最後に申請に必要なエビデンスと取組(質問⑪)のポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。

【エビデンス】

  • 飲み物に関する取組の周知・案内文(紙⾯配布、メール、社内回覧、貼紙など)
    ※周知・案内した日付が記載されていること
  • 飲み物に関するセミナー資料
    ※セミナーを実施した日付が記載されていること
【ポイント】

  • 従業員が、糖質の多い飲料、高カロリーの飲料を飲み過ぎないように配慮していることを評価します。
  • 飲み物に関する情報提供を行う際には、飲み物のカロリー表示は忘れないようにしましょう。
  • 水(ミネラルウォーター)やお茶等の摂取を推奨する場合は、しっかりと健康づくり(糖質の過重摂取防⽌等)が目的であることを明記して周知しましょう。
  • 飲み物に関する啓発等の効果的な資料(ポスターなど)は保険者で保有していることが多いので、まずは保険者に相談してみましょう。
  • 3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満の場合、健保連東京連合会なら2点の配点、協会けんぽ東京支部なら1点の配点になります。
  • 非該当(1点)の“目的が異なる取組”とは下記のような取組が該当します。
    【非該当例】
    夏場の単なる水分補給の勧奨

    周知もなく単にウォーターサーバーや給茶機が備えられているのみ
    周知もなく単に⾃販機(水・お茶)が設置されているのみ

質問⑫:従業員の日頃の食生活が乱れないような取組を行っていますか?

質問⑫の取組は3点満点となっております(表12-1参照)。食(飲酒含む)に関する情報提供・啓発等が行われたかが問われています。しっかりと社内全体に展開できていれば3点となります。次に、2点の配点では、健保連東京連合会と協会けんぽ東京支部で採点基準が若干異なります。健保連東京連合会では、「3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満」であれば2点となります。協会けんぽ東京支部では、「食(飲酒含む)に関する情報提供・啓発等が社内の一部でしか行われていない」場合は2点となります。なお、それ以外の取組は1点となります。

表12-1:配点表(質問⑫)

配点 採点基準
3 ・食(飲酒含む)に関する情報提供・啓発等が行われた実績が把握できる
2 【健保連東京連合会】
・3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満
【協会けんぽ東京支部】
・食(飲酒含む)に関する情報提供・啓発等が社内の一部で行われた実績が把握できる
1点 ・上記以外

また、各保険者の採点基準表は下記の通りとなっております(表12-2、表12-3参照)。

表12-2:採点基準表(健保連東京連合会) 質問⑫のみ抜粋

表12-3:採点基準表(協会けんぽ東京支部) 質問⑫のみ抜粋

最後に申請に必要なエビデンスと取組(質問⑫)のポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。

【エビデンス】

  • 食に関する取組の周知・案内文(紙⾯配布、メール、社内回覧、貼紙など)
    ※周知・案内した日付が記載されていること
  • 食に関するセミナー資料
    ※セミナーを実施した日付が記載されていること
【ポイント】

  • 従業員に対して、栄養バランスのとれた⾷⽣活となるよう情報提供や啓発を⾏っていることを評価します。
  • 食(飲酒含む)に関する啓発等の効果的な資料(ポスターなど)は保険者で保有していることが多いので、まずは保険者に相談してみましょう。
  • 3点(満点)の取組期間が1カ月以上6カ月未満の場合、健保連東京連合会なら2点の配点、協会けんぽ東京支部なら1点の配点になります。
  • 下記のような取組が該当(3点)となります。
    【取組例】
    食生活改善ポスター(野菜から食べよう、野菜の摂取量を多くしようなど)を掲示した

    コンビニメニューのカロリーをまとめた資料を掲示した
    専門家を招いて食生活改善セミナーを実施した
    仕出し弁当(ヘルシー弁当等)の提供⽬的を周知し、利用者には費用補助を行っている
    食生活改善に向けたアプリを提供している など
  • 下記のような取組が非該当(1点)となります。
    【非該当例】
    年末年始時期の過度の飲酒注意喚起などの時期的なもの

 

注意事項および参考資料

注意事項
今回の『銀の認定』の制度概要の説明に関しては、2023年度の申請書類をもとに作成しています。取組内容や採点基準については都度更新されていますので、年度が変わっている場合は必ず最新版の申請書類をご確認ください。

参考資料
健保連東京連合会HP:健康企業宣言「銀の認定」・「金の認定」を目指しましょう
https://www.kprt.jp/contents/health/
健保連東京連合会:「健康企業宣言銀の認定研修会」資料
協会けんぽ東京支部HP:健康企業宣言とは
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokyo/cat070/collabo271210-1/
関東ITソフトウエア健康保険組合:「銀の認定」解説と添付資料例 R5.5更新

 

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