執筆講演成果

健康企業宣言『銀の認定』について(第4回)

この研究成果発表では、東京都の健康宣言事業である健康企業宣言『銀の認定』の制度概要及び取組について、全9回に分けて説明させていただきます。

第4回は、7分野18項目の質問(取組)のうち、取組分野「健康づくりのための職場環境」の⑥~⑧の3つの質問(取組)について確認していきます。

執筆者 江崎 泰将
中小企業診断士/健康経営エキスパートアドバイザー/健康ビジネス研究会・理事/
健康企業宣言東京推進協議会 金の認定ワーキンググループ 委員
東京都出身。経営コンサルティング会社を経て、2016年に独立。2012年中小企業診断士登録。
健康経営アドバイザー・エキスパートアドバイザー研修のテキスト執筆・研修コンテンツ作成・講師などに携わる。銀の認定、健康経営優良法人認定取得支援に多くの実績を有する。

    • 目次

 

健康づくりのための職場環境

質問⑥:職場の健康づくりの担当者を決めていますか?

こちらの取組は5点満点となっております(表6-1参照)。健康づくり担当者を設置してから6カ月以上が経過していれば5点となりますが、それ以外の取組は1点となります。また、当然のこととなりますが、健康づくり担当者は設置のみだけでなく、継続して健康経営の推進活動に携わっている必要があります。

表6-1:配点表(質問⑥)

配点 採点基準
5点 ・健康づくり担当者等の設置を書面により確認できる
※担当者を設置してから6カ月以上の経過が必要
1点 ・上記以外

また、各保険者の採点基準表は下記の通りとなっております(表6-2、表6-3参照)。

表6-2:採点基準表(健保連東京連合会) 質問⑥のみ抜粋

表6-3:採点基準表(協会けんぽ東京支部) 質問⑥のみ抜粋

最後に申請に必要なエビデンスと取組(質問⑥)のポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。

【エビデンス】

  • 任命書、組織体制図、議事録など
    ※任命された日が記載されていること
【ポイント】

  • 健康づくり担当者を設置してから6カ月以上が経過している必要があります。
  • 健康づくり担当者は、安全管理者・衛⽣管理者・安全衛生推進者である必要はありません。
  • 事業場が複数ある場合は、事業場ごとに担当者を決めてください。なお、事業場ごとで取り組みの温度差が出ないように、各事業場の担当者が定期的に情報共有できる場の設定も検討しましょう。

質問⑦:従業員が健康づくりを話し合える場はありますか?

質問⑦の取組は5点満点となっております(表7-1参照)。定期的な話し合いを開始してから6カ月以上が経過していれば5点となりますが、それ以外の取組は1点となります。

表7-1:配点表(質問⑦)

配点 採点基準
5点 定期的に従業員が健康づくりに関する内容を話し合っていることが、書面等で確認できる
※取組(話し合い)を開始してから6カ月以上の経過が必要
1点 ・上記以外

また、各保険者の採点基準表は下記の通りとなっております(表7-2、表7-3参照)。

表7-2:採点基準表(健保連東京連合会) 質問⑦のみ抜粋

表7-3:採点基準表(協会けんぽ東京支部) 質問⑦のみ抜粋

最後に申請に必要なエビデンスと取組(質問⑦)のポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。

【エビデンス】

  • 開催実績と健康づくりが議題・テーマとなっていることが確認できる資料(会議資料・議事録など)
    ※継続した実施・開催状況・開催日がわかるよう複数回分の資料を提出
【ポイント】

  • 従業員(従業員を代表する者、健康づくり担当者等)が健康づくりに関することで話し合える場があることを評価します。
  • 定期的な話し合いを開始してから6カ月以上が経過している必要があります。
  • エビデンスには、健康づくりが議題・テーマとなっていることが確認できる該当箇所にマーカーなどを引いて、分かり易い申請資料作りを心がけましょう。
  • 健康づくりを議題・テーマとした話し合いを行っても、エビデンスで確認できなければ1点の評価となります。
  • 50人以上の事業所であれば、安全衛生委員会などの開催による健康づくりが議題・テーマとなっていることが確認できるエビデンスの提出もOKです。

質問⑧:健康測定機器等を設置していますか?

質問⑧の取組は5点満点となっております(表8-1参照)。全事業場で健康測定機器を設置してから6カ月以上が経過していれば5点となりますが、それ以外の取組は1点となります。

表8-1:配点表(質問⑧)

配点 採点基準
5点 ・健康測定機器の設置を書⾯等で確認できる

・非接触型体温計等の設置(職場の⼊⼝等、全職員が通過するような場所に設置)
※事業場が複数ある場合は全事業場で健康測定機器の設置が必要
※健康測定機器を設置してから6カ月以上の経過が必要

1点 ・上記以外

※全事業場に設置していない(一部の事業場のみ設置)
※AED、空気清浄器、加湿器等(従業員の健康状態の測定・管理が目的でないので対象外)
※薬箱等に備えられているだけの体温計(体温計は設置だけでは× 従業員への周知が必要)

また、各保険者の採点基準表は下記の通りとなっております(表8-2、表8-3参照)。

表8-2:採点基準表(健保連東京連合会) 質問⑧のみ抜粋

表8-3:採点基準表(協会けんぽ東京支部) 質問⑧のみ抜粋

最後に申請に必要なエビデンスと取組(質問⑧)のポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。

【エビデンス】

  • 健康測定機器等設置状況がわかる写真・画像(事業場が複数ある場合は全事業場分)
    ※設置⽇や周知日が記載されていること
【ポイント】

  • 全従業員が、⽇常的に使⽤できるように、健康測定器を設置・周知していることを評価します。
  • 全事業場で健康測定機器を設置してから6カ月以上が経過している必要があります。
  • 非接触型体温計等は設置のみで5点となりますが、単なる小型の体温計は設置のみでは1点となります。単なる小型の体温計は設置で5点を獲得するには、小型の体温計の設置に加え、従業員への周知実績が必要となります。
  • 健保連東京連合会の場合は「フィットネス器具」の設置は対象外で1点となりますが、協会けんぽ東京支部の場合は“ウォーキングマシーン”などの「フィットネス器具」の設置は5点を獲得できます。
  • AED・空気清浄器・加湿器等は、従業員の健康状態の測定・管理が目的でないので非該当となり1点となります。

 

 

注意事項および参考資料

注意事項
今回の『銀の認定』の制度概要の説明に関しては、2023年度の申請書類をもとに作成しています。取組内容や採点基準については都度更新されていますので、年度が変わっている場合は必ず最新版の申請書類をご確認ください。

参考資料
健保連東京連合会HP:健康企業宣言「銀の認定」・「金の認定」を目指しましょう
https://www.kprt.jp/contents/health/
健保連東京連合会:「健康企業宣言銀の認定研修会」資料
協会けんぽ東京支部HP:健康企業宣言とは
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokyo/cat070/collabo271210-1/
関東ITソフトウエア健康保険組合:「銀の認定」解説と添付資料例 R5.5更新

 

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