健康経営と法務 ~安全配慮義務と法的責任~
2024年12月 健康ビジネス研究会「定例会」
日時 | 令和6年12月23日(月)20:00~21:30(Zoom開催) |
講演テーマ | 健康経営と法務 ~安全配慮義務と法的責任~ |
講師 | 弁護士・中小企業診断士 北畑 亮 会員 |
出席者 | 47名 |
内容 | 安全配慮義務について概観し、企業が従業員等の健康にどのような/どこまでの法的責任を負うのかをお話いただきました。 ※今回もZoomを利用したリモート配信です。 |
講演所感
まず、健康経営は一番大きな枠組みで、その中に安全配慮義務、さらに法令が包含関係にあるということをご説明いただきました。
健康経営の中に「守らなければならない法令」は当然にありますが、安全配慮義務とは明確に守らなければならない決まりごとの範囲よりも広く、健康経営の大きな枠組みと法令との双方の中間にあるファジーな部分ということでした。
その安全配慮義務の範囲が時代とともに広がってきているということ。
一方で、労働者側にも義務(自己保健義務)があり、労使双方で取り組むことの重要性を問われていました。
様々な事例や、安全配慮義務が出てきた歴史的な背景から説明を頂き、ものすごく理解が進みました。
また、違反した際のペナルティについても言及されてました。
対象の違反 | ペナルティ |
使用者による法令違反 | 刑事責任、罰則 |
使用者による安全配慮義務違反 | 損害賠償 |
労働者による自己保健義務違反 | 過失相殺 |
こうしてみると、やはり「使用者側の方がリスクが高いなぁ」と思って聞いてました。
さらに、昨今の働き方の特性に応じた事例の紹介(副業、外国人、障害者雇用など)もおこなってくださり、近年はますます安全配慮義務の範囲が広がってきたとのことです。
素直にとらえれば、使用者側からすると、ものすごく難しくなってきていると思います。
つまり、安全配慮義務を「やらなければならないこと」と捉えると、その範囲が増えて大変さが増していくということです。
一方で、健康経営の観点(範囲)から、下がっていく(絞っていく)のならば、安全配慮義務は当たり前に対応しているべきこと何じゃないかとも思った次第です。
取り組むとハッピーになる健康経営の観点から考えていけば、当たり前のごとくやらなければならないことは、自ずと含まれていることで、そう考えれば安全配慮義務の範囲が広がったからと言って、リスクが高まったととらえる必要もないのだと言うことと理解しました。
やはり健康経営の視点から物事を見ていくということは、非常に重要なんだと改めて感じた次第です。
北畑先生、本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
※写真はイメージです。