調査研究成果

健康経営優良法人の取得を目指している場合の「銀の認定」の取組の留意点

健康経営優良法人の取得を目指している場合の「銀の認定」の取組の留意点について確認したいと思います。特に、取組分野「職場の食」の「質問⑪:従業員の日頃の飲み物に気をつけていますか?」「質問⑫:従業員の日頃の食生活が乱れないような取組を行っていますか?」の2つの質問(取組)は注意が必要です。

基本的に⑪⑫の取組は『情報提供』や『研修』を実施することで満点が取れるようになっています。
しかし、健康経営優良法人を目指す場合は、申請書の「食生活の改善に向けた取り組み」の設問を見ると『研修や情報提供を除く』取組で評価されます(図1及び図2の赤線参照)

図1:健康経営度調査2024(ACTION!健康経営HPよりダウンロード)のサンプルより抜粋

図2:健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)の申請書サンプル(ACTION!健康経営HPよりダウンロード)より抜粋

例えば、「銀の認定」の⑪の取組を「飲み物のカロリー表を自販機に貼り付け」、⑫の取組を「コンビニメニューのカロリー表の掲示」で対応した場合(下記【健康経営優良法人の「食生活改善に向けた取り組み」項目の認定要件を満たさない取組例】参照)は情報提供に該当します。そのため、健康経営優良法人の「食生活改善に向けた取り組み」項目は認定要件を満たさないことになります。
 

【健康経営優良法人の「食生活改善に向けた取り組み」項目の認定要件を満たさない取組例】

職場の食 質問⑪:従業員の日頃の飲み物に気をつけていますか?
【取組】飲み物のカロリー表を自販機に貼り付け、糖質の多い飲料、高カロリーの飲料を飲み過ぎないように配慮することを推進
質問⑫:従業員の日頃の食生活が乱れないような取組を行っていますか?
【取組】コンビニメニューのカロリー表の掲示し、栄養バランスのとれた⾷⽣活を意識することを推進

その場合、健康経営優良法人の「食生活改善に向けた取り組み」項目の認定要件を満たすためには、別途取組が必要となりますので、ご注意ください。
例えば、⑫の取組を次のような取組で対応すれば、「銀の認定」及び「健康経営優良法人」の認定要件を満たします

【要件を満たす取り組み例】
・仕出し弁当(ヘルシー弁当等)の提供⽬的を周知し、利用者には費用補助を行っている
・食生活改善に向けたアプリを提供
・朝食の提供(朝食欠食対策)
・食生活改善に向けた定期的な企画を実施(腹八分目運動、野菜摂取週間、料理教室等)など

 健康経営優良法人を目指す際、「銀の認定」の取組を厳選する場合に参考になれば幸いです。

注意事項
今回の『銀の認定』の制度概要の説明に関しては、2023年度の申請書類をもとに作成しています。また、健康経営優良法人につきましても『健康経営優良法人2024』の健康経営度調査及び申請書を参考にしております。年度が変わっている場合は必ず最新版の申請書類をご確認ください。
参考資料
健保連東京連合会HP:健康企業宣言「銀の認定」・「金の認定」を目指しましょう
https://www.kprt.jp/contents/health/
健保連東京連合会:「健康企業宣言銀の認定研修会」資料
協会けんぽ東京支部HP:健康企業宣言とは
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokyo/cat070/collabo271210-1/
関東ITソフトウエア健康保険組合:「銀の認定」解説と添付資料例 R5.5更新
ACTION!健康経営:「申請について」
https://kenko-keiei.jp/application/

江崎 泰将
中小企業診断士
健康経営エキスパートアドバイザー
健康ビジネス研究会・理事

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