調査研究成果

働く人の健康管理(産業保健と健康経営)

定例会の内容を一部ご紹介します

12月の定例会では、会員から発表を頂きました。そのうち保健師の倉野会員からの発表を、以下に一部を紹介させて頂きます。
 

産業保健活動とは

私たち保健師は企業で働く人のために働いています。
産業保健活動の主目的は「働くことによって病気になることや、持っている病気が悪化することがないように」ということです。立場は、労使のどちらでもない専門的立場です。

保健師は、看護師プラス、予防医学、公衆衛生学、基本的なカウンセリングスキルを学んで得られる資格です。

日々の活動において、法令順守は基本です。法律だから守る。というよりは、法律で決められている程大切なこと、という認識でいます。

健康増進については健康経営以前は福利厚生の側面が強かったと感じています。
 

健康経営優良法人認定基準と産業保健

健康経営優良法人、中小企業部門の認定要件について、私なりの産業保健の視点をご紹介します。
認定要件には、これまで保健師として日常的にやってきた、というものと、やってこなかったものとが混ざっています。(以下、一部抜粋)

推進計画 産業保健チームが機能している企業では、長期計画を立てているが、個人で活動していると難しい。
それでも許されてしまってきていたのが現状で今後の課題。
受診勧奨 健康診断100%受診は法定義務。再検査、精密検査についての受診勧奨は法律上は努力義務だが、就業上の措置、安全配慮義務の観点からやるべき。(参考:健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)
保健師が受診勧奨をするときには、項目やその人の背景により濃淡がある。
健康教育 日々、必要性を感じている。テーマや対象は様々。
新入社員研修や管理職研修の時間に組み込むなど会社と協力している。
管理職への教育が要。研修実施後の効果測定が今後の課題。
保健指導 保健指導と特定保健指導は主体が違う。
会社の健診事後措置としての保健指導と、特定保健指導の連携がうまく取れているとは言えないと感じる。
社内に産業医や保健師がいなければ、特定保健指導をどんどん活用すべき。
メンタルヘルス 現在の保健師業務の中心ともいえる。個別対応から関係者との連携、教育まで幅広い。
「メンタルヘルス指針」と「職場復帰支援の手引き」を参考にしている。
取組、評価 産業保健活動の評価、これは長年の課題。数値活動の効果を見せるのが難しい。
健康経営と一緒にできたらと思っている。

 

最後に

保健師の活動は幅広く、会社の現状に合わせて、形を変えて支援ができることが強みと思っています。
健康経営を進めていくうえで、保健師を上手に活用して頂けたら幸いです。

倉野かおり
保健師/労働衛生コンサルタント
健康経営エキスパートアドバイザー

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