調査研究成果

健康管理のポイント

定例会の内容を一部ご紹介します

12月の定例会では、会員から発表を頂きました。そのうち保健師の伊東会員からの発表を、以下に一部を紹介させて頂きます。

産業保健の基本的枠組み

産業保健を進めるうえでまず理解しておかなければならないのが、根拠となる労働安全衛生法です。
この第一条は以下のように示されています。

「この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」

つまり、産業保健は労働者の健康障害の予防や健康増進に加え、職場環境の整備を含む組織全体を対象とした支援を行います。

具体的には、下記に示す労働衛生の3管理と呼ばれるものがわかりやすいでしょう。

作業環境管理 作業環境中の有害因子の状態を把握して、良好な状態で管理する
作業管理 適切な作業方法を定めて実施させるよう管理する
健康管理 健康診断で健康状態をチェックし、異常の早期発見・進行防止をはかる

「労働衛生教育」と「リスクマネジメント」を含めて、5管理とも言います。
 

保健指導の実際

企業の労働者全体を対象とした健康教育では、基本的な知識だけでなく、行動変容を起こすための“動機づけ”になる情報提供をこころがけています。

現在日本人の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳(2022年厚労省)であり、今後さらに延伸すると予想されます。
一方で、介護等が必要のない健康寿命は72~75歳であり、平均寿命と比べ約10年の乖離がみられます。
健康障害を予防するとともに、仕事のパフォーマンスを向上させるため、下記に示す「7つの健康習慣」をお勧めします。

      1.喫煙をしない
      2.定期的に運動する
      3.飲酒は適量を守るかしない
      4.1日7~8時間の睡眠を
      5.適正体重を維持する
      6.朝食を食べる
      7.間食をしない

これらは1980年にアメリカのブレスロー教授が発表したもので、身体的健康度と優位に関連した健康行動を示しています。
40年前の論文ですが、現在の生活にも通じるものがあります。基本的な生活習慣を整えることで、心身ともに健康になるだけでなく、パフォーマンスも向上し、より生き生きとした生活が期待できるのです。
 

最後に

今回産業保健師がどのような保健指導をおこなっているのか、ポピュレーションアプローチの部分を皆様に体験していただきました。
産業保健師は法令に則り、個別対応からポピュレーションアプローチまで幅広く活動しています。

今後健康経営優良法人の認定取得のため、プレゼンティーズムやワーク・エンゲイジメント等の指標も導入されることでしょう。
認定取得を目指すとともに、社員の皆様が生き生きと活躍され企業の生産性を底上げするためにも、ぜひ保健師をご活用ください。

伊東千尋
保健師/産業カウンセラー

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