経営トップは、厳しい経営環境にも対応できるように、知識やノウハウを持つ従業員に健康でいかに長く働いてもらうことの実現が、事業継続していく上で大きな課題と考えています。
そのため、従業員が長く働きたいと感じられる企業を目指し、健康経営を導入することにしました。
企業の課題
B商事株式会社は、従業員数600名の卸売業です。
当時のB商事は、定期健康診断受診率は100%と高い状況ではありましたが、特に有所見者は多いという悩みがありました。
対象者に対して再検査・精密検査のフォロー体制は整っておりませんでした。また、特定保健指導も対象者には案内のみで、特定保健指導の受診率は低い状況にありました。つまり、定期健康診断後のフォローが弱いという状況でした。
さらに、最近ではコロナ禍の影響により自宅で過ごす日々が多くなり、運動不足や健康不安に感じる従業員が増えているという状況でした。
取り組み前の企業の状況
B商事では、良い取り組みも多く行われています。
前述した通り、定期健康診断は受診率100%を達成しています。時間外労働管理は徹底しており、ワーク・ライフ・バランスの推進も行っているので、時間外労働は月平均10時間未満となっています。
また、食堂では、メニューのカロリー表示、ヘルシーメニューの提供、食生活に関する情報提供など食生活改善に関する様々な取り組みを行っています。
取り組んだ施策
有所見者の対応策
1つ目は、企業の悩みである有所見者の対応策です。
有所見者に対しては、まずは自身の健康状態をしっかりと把握してもらうため、再検査・精密検査の受診率100%を目指しました。
具体的な取り組みとして、産業医面談を強化すると共に、総務部では再検査・精密検査の受診状況を把握し、受診時の出勤日認定制度と会社の費用負担制度を導入し、必ず受診するまでフォローする体制を整えました。
また、特定保健指導に対しては健保組合と連携し、会社の会議室を提供して、対象者全員が受診できるように総務部でスケジュールを組みフォローするという体制を整えました。
運動不足や健康不安への取り組み
2つ目は、運動不足や健康不安に感じる従業員に対する取り組みです。
従業員が、負担なく自身が取り組みやすいものから楽しみながら参加できるように、様々な取り組み毎にポイントを設定し、参加者にはポイントを付与する「健康経営ポイント付与制度」を導入しました。集めたポイントは、好きな商品に交換できる制度となっています。
この取り組みの中には、例えば、ストレッチ体操(オンライン参加も可)、従業員対抗歩数競争などの運動不足解消の取り組みに加え、メンタルヘルス研修などの研修参加者にもポイントを付与することにしました。「健康経営ポイント付与制度」は、従業員にも好評で楽しく取り組みが推進できています。
取り組み後の期待・展望
取り組みの結果として、健康企業宣言の「銀の認定」、健康経営優良法人(大規模法人部門)を取得しています。
また、従業員の健康に関す意識も変わってきています。
従業員アンケートによると、「会社の従業員の健康に対する配慮が以前より感じられる」「ポイント付与制度の取り組みをもっと増やして欲しい」「肩こり・腰痛改善の取り組みを行ってほしい」などの取り組みに対する意見も上がってきています。
これらのアンケート結果をもとに更に取り組みを充実させることを検討しています。
健康経営の取り組みは、徐々に社内にも浸透してきており、「健康経営ポイント付与制度」の参加率も向上しています。
企業の従業員と一体になって取り組みを継続するという想いも強く感じられ、経営トップが掲げる「従業員に健康でいかに長く働いてもらうことの実現」に向けて邁進しています。