前回「クアオルト健康ウォーキングを体験しました(その1)」からの続きです。
クアオルト健康ウォーキングに参加
そこでまずはどんな内容なのか勉強するために、2023年9月24日に所沢市において開催されたクアオルト健康ウォーキングに参加してきました。
所沢市は人と自然が共生できるまちを目指した「エコタウン所沢」を掲げ、2019年から「クアオルト健康ウォーキング」を開催しています。
都心近郊に立地しながら、市民たちが大切に守ってきた自然の中を楽しむコースを整備しています。「荒幡富士特別緑地保全地区コース」と「上山口堀口天満天神社周辺里山保全地域コース」の2つのコースがあるのですが、今回私は、「上山口堀口天満天神社周辺里山保全地域コース」に挑戦いたしました。
このコースは、株式会社クアオルト研究所所長の小関信行博士により監修されています。
「トトロの森」に接している狭山丘陵の樹林地内を整備したものですが、湿地、茶畑、雑木林などの中を歩くコースです。起伏にとんだコースになってますが、雑木林などの中、陽が遮られてとても涼しく、気持ちの良いウォーキングを行うことができます。想定歩行時間は1時間強となっています。
オリエンテーション
まずは講師の方から、参加方法の説明があります。
各個人の体力に合わせたウオーキングを、坂道の上り下りで行うこと、運動負荷に関しては心拍数(脈拍)でコントロールしていくこと、などが説明されました。
目標となる心拍数は、「160-年齢」であり、この時運動負荷は全力の55~60%程度となります。従って、ポイントで計測した心拍数が目標値を上回る場合は、次の歩行では少しペースを落とし、下回った場合は少し歩行ペースを上げることになります。ちなみに私の目標値は「101」と計算されました。
ポイントごと(坂を上り切った後の数か所)では、心拍数の他に血圧や体表面温度を計測します。「体表面温度を下げると運動効果が高まる」という医科学的なエビデンスを活用し、汗を上手に気化させて体表面の温度を下げて運動します。
平常時の心拍数、血圧、体表面温度を測定した後、準備運動を行ってからいざ出発です。
涼しい森の中を歩行
少し水辺を歩き、涼んだ後、最初の急坂を登ります。坂は数50から60メートル位続き、その間の標高差は10から20メートルくらいです。登り切ったところで最初の計測(心拍数のみ)を行います。私の心拍数は116(1分間)と目標値を上回ってしまいました。
そこで第2チェックポイントまでは少しペースを落とし歩きます。体表面温度を下げるため、両手を上げて脇の下に風を通しながら歩きます。
第2チェックポイントでは、血圧や体表面温度も計測しました。ここでの心拍数は108に下がっており、設定した運動強度に近づきました。血圧や体表面温度も下がっていることが確認できました。
講師の先生からは要所ごとに木々や花、生き物、この地の歴史などの説明があり楽しめます。また、「ヤッホポイント」という場所では、「トトロの森」に向かって皆で「ヤッホ」、「トトロー」と大きな声で叫びます。普段出さない大きな声を出すことで、心のリフレッシュを図ります。
さて、最後のチェックポイントに到着しました。
ここでの心拍数は98、体表面温度はスタート時の32.4℃から30.1℃に低下と、目標に近い歩き方が出来たことを確認しました。そして、最高血圧は出発前の151から118に低下しており、クアオルト健康ウォーキングの大きな効果を実感することができました。
心身ともに気持ちよくなったことを体感しただけではなく、数字としての効果が確認できたことで、今後も参加してみたいという意欲が増しました。また、歩き方を学んだことで、今後は普段からウェアラブル端末で心拍数を計測しながら街中を歩いてみようと思っています。
健康経営として取り組む企業も
「クアオルト健康ウォーキング」を健康経営の取組みとして導入する企業も出てきました。例えば、青森銀行は2014年より浅虫温泉公園において行っていますし、中小企業でも、山形県の羽陽建設株式会社は上山温泉の認定コースを利用して行っています。
上山市では、クアオルト健康ウォーキングだけではなく、「コミュニケーションスキルトレーニング」や「ラクラク禁煙教室」、「健康・栄養教室」を始め様々な健康経営の総合的なメニューを提供しています。
東京都医業保険組合も組合員向けに「クアオルト健康ウオーキング」を2021年に開催していますし、健康保険組合でも取組みが始まっています。
企業研修に組み合わせて行うことも可能かと思います。例えば、「午前中、クアオルト健康ウォーキングを行い、心身がリフレッシュしたところで、午後研修を実施する」などの方法も効果があるかと思います。
皆様の会社でも、従業員の健康増進と生産性向上の取組みとして、クアオルト健康ウォーキングに参加してみては如何でしょうか。
参考文献
・日本温泉科学会第68回大会公開講演I-2
「ドイツと日本におけるクアオルトと気候性地形療法に関する研究」小関信行
http://j-hss.org/journal/back_number/vol65_pdf/vol65no3_164_170.pdf
・日本クアオルト研究機構HP https://kurort.jp/kurort/japan_kurort/index.html
・太陽生命HP https://www.kurort-award.jp/kurort/
・所沢市HP https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kenko/karadakenkou/kenkodukuri/kurort.html
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/iitokoro/enjoy/kanko/news/kurort.html
・湯布院温泉郷(由布院温泉、湯平温泉、塚原温泉、庄内温泉、挾間温泉)国民保養温泉地計画書
https://www.env.go.jp/nature/onsen/area/pdf/hoyo_067.pdf
・青森銀行HP https://www.a-bank.jp/contents/guide/aboutabank/csr/report/work04.html
・経済産業省東北経済産業局「東北地域における健康経営優良法⼈2022取組事例集」
https://www.tohoku.meti.go.jp/s_service/healthcare/topics/pdf/230331.pdf#page=7
・上山市HP https://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/site/kurort/kenko-keiei.html
健康経営エキスパートアドバイザー
中小企業診断士/社会保険労務士
河﨑 展生