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健康診断結果の取り扱いについて1 ~取扱いの原則~

健康診断結果の取り扱いについて1

~取扱いの原則~

年に一度の健康診断。全従業員の結果をどう活用・保管していますか?
受診の証拠として、紙、またはデータで集めて、あとは寝かせたままという事業場も多いのではないでしょうか。

健診結果は重要な個人情報ですので、取扱いには注意が必要です。
まずは、その取扱いについて関連する法律・指針を確認してみましょう。

心身の状態の情報の分類 左欄の分類に該当する心身の状態の情報の例 心身の状態の情報の取扱いの原則
労働安全衛生法令に基づき事業者が直接取り扱うこととされており、労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
  • 健康診断の受診・未受診の情報
  • 健康診断の事後措置について医師から聴取した意見
全ての情報をその取扱いの目的の達成に必要な範囲を踏まえて、事業者等が取り扱う必要がある。(後略)
(前略)労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが適当である心身の状態の情報
  • 健康診断の結果(法廷の項目)
  • 健康診断の再検査の結果(法定の項目と同一のものに限る)
事業者等は、当該情報の取扱いの目的の達成に必要な範囲を踏まえて、取り扱うことが適切である。そのため、事業場の状況に応じて、

  • 情報を取り扱う者を制限する
  • 情報を加工する

等、事業者等の内部における適切な取扱いを取扱い規程に定め、(後略)

(前略)あらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要(後略)
  • 健康診断の結果(法定外)
  • 健康診断の再検査の結果(法定項目と同一のものを除く)
  • 健康診断の精密検査の結果
個人情報の保護に関する法律に基づく適切な取扱いを確保するため、事業場ごとの取扱規程に則った対応を講じる必要がある

(表1)「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(9)心身の状態の情報の取扱いの原則」(平成30年)より健康診断結果に関するもののみ抜粋

大切なのは「必要最低限の情報を」「必要最低限の人が」「健康確保や安全配慮義務履行のために」扱う、ということです。
具体的には、健康診断結果を見ることが出来る担当者を決めること。担当者は受診の有無、法定項目の結果についてはしっかりと内容(判定)を確認するべきです。

また、法定項目以外の結果については、本人の同意を得たうえで収集するのが原則です。とはいえ、法定項目と法定外の項目が一緒に同じ紙面で事業者に提出されることも多いですよね。

次回はこの健康診断項目、法定、法定外についての考え方についてお話します。
 

保健師・労働衛生コサルタント
一般社団法人OHN協会理事
倉野かおり

※OHN協会の詳細は以下のリンクからご参照ください。

一般社団法人OHN協会 産業保健サービスステーション (http://ohn-station.or.jp/)

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