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映画を通じて考える共生社会の実現【その2】

当事者の苦悩を知り大きな衝撃を受ける

まだ撮影が始まる前、私は松野さんの思いを聞く機会をいただきました。
その時に、松野さんが「もっと上司が理解してくれたら・・・」とぽつりと悲しそうにつぶやいたのが今でも忘れられません。

もともと私は、役者としてこの映画に関わり始めたのではありませんでした。
組織人事コンサルタントして、そして健康経営のエキスパートとして、こういった職場内の問題解決を映画を通じて広めていく手伝いをしてほしいと依頼されたのがきっかけでした。その過程のなかで、松野さんのお話を聞く機会をもらったのです。
多様性、SDG’sなど、クローズアップされている昨今ですが、実際に当事者から直接お話を伺い、その苦悩を知るのは、何より私にとって大きな衝撃となりました。
 

松野さんの思いと演者としての覚悟

その後、別の舞台で監督とご一緒していたこともあり、監督から映画出演のオファーをいただき、映画に出演させて頂くことになりました。
私の本業は人事コンサルタントであり、役者ではありません。でも、私がこの映画に出演することで、苦悩を抱える方々の役に立つかも知れない、この映画を私の教材として広めていくことができたらと、オファーを受けました。

松野さんは、映画の撮影が始まる数ヶ月前に亡くなり、この映画を観ることはできませんでした。まだコロナが収束する前ではありましたが、関係者一同、松野さんの思いを繋ごうと、撮影に臨みました。
 

社会が変わるきっかけを目指して

今、劇場公開が終わり、第2ステージが始まっています。
こういった社会問題を取り扱う独立系映画は、劇場公開が最終目的ではなく、そのあとに自主上映会を全国で実施し、社会の隅々まで啓蒙していくことが一番の目的です。
ただ感動した、楽しかったで終わらせてはいけないのです。社会で生きるすべての人が、本当の多様性とは何か、共生社会とは何かを考えるきっかけとなり、社会が変わるきっかけとなることが一番の目的です。

先日、メインスポンサーのウチダシステムズ様と共催した自主上映会では、企業×社労士×映画監督の3者パネルディスカッションや、ロケ地見学とあわせて、映画を通じて考えるワークショップを開催しました。
タイトルは「共に創る共生社会への第一歩」。私がその講師を務めました。
 

お互いに知り合うことは「健康経営」においても大切

大規模法人の健康経営優良法人認定の健康度調査では、介護や育児との両立支援など、従業員の社会的健康や背景によって差別されない働き方まで言及しています。
企業における健康とは、心身の健康のみならず、安心して働けることも重要な要素です。そのためには、まずはお互いを知り合うこと。病気を抱えている人の気持ち、一緒に働いている人の気持ち、何を考え、何に悩んでいるのかをお互いに知り合うことが第一歩だと思います。

映画では、それらを疑似体験することができます。今後、バリアフリーDVDの発売もあるようです。ぜひ、映画をごらんいただき、多様な人々が共に生きる社会について、考えていただけたら嬉しいです。

小島 希美
社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー
株式会社シースリーフュージョン 代表取締役
https://c3fusion.co.jp/
※画像引用:「いまダンスをするのは誰だ?」公式サイトより引用

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