取組事例

「階段歩行の奨励」から始めてみてはいかがですか?

「階段歩行の奨励」から始めてみてはいかがですか?

私たち健康経営アドバイザーは支援先企業から、「何か社員の運動を促す取組みをしたいのだけど、費用の掛からない方法はないですか?」とよく尋ねられます。そのような際に提案するものの1つとして「階段歩行の奨励」があります。
「階段歩行の奨励」でしたら、無料で始められますし、社内における移動時や通勤時に実施してもらえるので、時間のムダもほとんど生じません。
 

階段歩行の効果

さてこの階段歩行ですが、健康にとても効果があるとも言われています。
国立健康・栄養研究所は運動強度を表す数値を発表していますが、「階段を降りる」は3.5メッツ、「階段を上る:ゆっくり」が4.0メッツ、「階段を上る:速い」は8.8メッツと示されています。
バスケットボールやアメリカンフットボールの試合出場が8.0メッツなので、階段上りはかなり激しい運動ということになります。

(参考資料:2012年4月改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf

聖路加国際病院元名誉院長の日野原重明さんも生前、著書の中で健康長寿の秘訣は階段歩行であることを述べられておりました。日野原さんは毎日、病院5階の執務室まで、1段抜かしの速足で、何回も駆け登られていたそうです。また、駅でもエスカレーターを使っている若者を横目に見ながら、階段上りで抜かしていくことを楽しみにされていたようです。

(参考資料:日野原重明著『新生き方上手』、『生きるのが楽しくなる15の習慣』他)

 

行政の取り組み

このような中、厚生労働省も国民に対し、下図のようなポスターを作成し、階段歩行の奨励を行っています。

(出典:厚生労働省「階段利用キャンペーについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/undou03/index.html

 
また自治体でも工夫を凝らして市民に階段歩行を呼び掛けています。さいたま市見沼区は、区役所の階段を装飾し、思わず上りたくなるような階段を作りあげました。当階段は「だんだん元気になる階段!~見沼ステップアート~」と題され、見た目にも楽しい「階段アート」が施されています。また、区のシンボルクイズを各段に表示し、楽しみながら階段上りが出来るような工夫もされています。

(参考資料:さいたま市ホームページ「だんだん元気になる階段!~見沼ステップ」
https://www.city.saitama.jp/minuma/001/003/003/p061399.html
(写真は筆者撮影)

さいごに

運動の習慣は、生活習慣病の発症につながるメタボリックシンドロームを予防するとともに、加齢に伴う生活機能の低下(ロコモティブシンドローム )を予防することが出来ます。
また仕事の合間の適度な運動は、気分転換やストレス解消にもつながり、メンタルヘルス不調の予防にも効果があると言われています。

皆様の会社でも、運動面の取組みのファーストステップとして、階段歩行を奨励してみては如何でしょうか?

 

河﨑展生
中小企業診断士・社会保険労務士
健康経営エキスパートアドバイザー
健康ビジネス研究会・理事

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